お客様のヒプノセラピー体験~検非違使の恋

お客様から以前受けたヒプノセラピーの詳細な記録が送られてきましたので、シェアいたします。上質な小説のようです。

こんにちは。突然すみません。

私は2012年の3月だったと思うのですが、

そちらでヒプノセラピーを受けたものです。

つれづれなるままに、お便りさせていただきます。

まりえさんの催眠の中で

私は、平安京の検非違使でした。

検非違使の中には、平氏や源氏など、

武士もいますし、貴族もいます。

私は中の下流の貴族でした。

先輩のあやの丞(仮名)に、

弓や馬術など教えてもらっていていました。

私はあまり武術に優れず、よくあやの丞に呆れられましたが、

の筋だけは褒められました。

その先輩たちと一緒に都の中を馬に乗って歩いたのは、

とても誇らしい幸福な瞬間でした。

当時の貴族は男色が大流行で、

検非違使の同輩の中にも、

上流貴族のお手付きになったことで出世するようなのもいましたが、

それだけはやめよう」

「男色で出世して何がうれしい」

「本当に気持ちが悪い」というのが共通認識でした。

ある宴で白拍子を呼んで騒いでいたのですが、

「女が男の恰好をして舞うならば、

男も女の恰好をして舞えばよかろう」

とのことで、若輩の私が、髪をほどかれ、

女物の着物をかけました。

その顛末を、酔っ払っていてよく理解していなかったあやの丞が、

が女の恰好をしているのを見て、

口をぽかんと開けて、驚いてみていました。

そんなこんなで、厠に行こうとしたのか、

新鮮な空気を吸おうと思ったのか、私は外へ出ました。

廊下を歩いていると、部屋からぬっと腕がのびて、

部屋の中につれこまれ、あやの丞に押し倒されました。

厚い胸板、闇に沈む花のかすかな香り、

あやの丞の体臭、遠くから人の騒ぐ声、

かがり火のはぜる音、笛の音色。

「え、やばいやばいやめてかんべん」と思いながらも、

それをどこかでそれを待っていたような、

期待していたような、もういいような気もして抵抗をやめたとき・・・「え、なんだ、お前だったのか。えーいやめてくれ、ややこしい。」と、解放されました。

ほっとしたようながっかりしたような。

「いやいやあんた、私の女装に見惚れていたやん。

あ、本物の女だと思っていたってこと?あー、勘違い、恥ずかしい・・・」と内心反省。

と、いうことがあり、また場面が変わり。

昼下がりの坂道。

賊との戦いの末、たくさんの男たちが負傷していました。

あやの丞も瀕死の状況でした。

仲間の岡田丸(仮名)のせいで、

あやの丞や同じ部隊の人間はこのような状況になっていたのでした。

裏切りなのか連絡ミスなのかよくわかりませんが、

とにかく岡田丸が悪いのです。

違う部隊だった私は別に行動していたのですが、

胸騒ぎがしてかけつけたら、このざまでした。

私は、あやの丞の背中を抱えながら泣きながら

「死なないでくれ、何やってるんだあなたは。あー、どんくさい」

と声をかけるのですが、あやの丞の奴は

「あー、なんだお前か。くっそー、岡田丸のせいで。

てかなんで最期の最期にお前なんだよ。

どうせなら俺、女に抱かれて死にたかったよ。

てか泣くなよ。お前ばかじゃねーの」

とかなんとか言って、こと切れました。石榴の実が揺れていました

その騒動が終わってから、

私は検非違使から文書管理の事務仕事にかわりました。

だって私は身分は高くないとはいえ、

一応貴族ですからね。

でもそれは砂をかむような日々。

どうして助けてあげられなかったのかと。

私は、あやの丞が手をつけていた下働きの茉莉花(仮名)という女をひきとって、妻にしました。

茉莉花はおどおどとした、

顔立ちは悪くないのに伏し目がちな女でした。

そして私は老年になり、虫歯がもとで病に伏せり、

死ぬことになるのですが、

茉莉花が横で看取ってくれました。

茉莉花は心から悲しそうな表情で、

あいからわずの伏し目で。

私はふと

「妻は、私が哀れみで拾ったと、負い目に感じ続けてきたのかな」

「私が本当に愛していたのはあやの丞だと、そう思っていたのかな」

「いや、私は私なりに、お前を愛していたよ。

感謝していたよ。お前はよい妻だったよ。」

と、思いつつも、口も体も動かなくて。

でも、誰かに惜しまれて亡くなることができるのは、

自分はありがたかったです。

しかし、茉莉花を大切におもっていたことを

茉莉花に伝えられなかったのは、

申し訳なく思いました。

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